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債務整理

住宅ローン特則付き個人再生

住宅資金特別条項を利用した個人再生という手続きをとれば,住宅ローンはこれまでどおりの返済を続け,その他の借金,例えば300万円ほどの借金であれば100万円にまで減額をして,3年から5年までの分割で支払いをしていくことができます。この手続は,借金の理由がギャンブルのような浪費によるものだとしても,利用できる手続になります。

住宅ローン特則付き個人再生

事例

 Aさんは,10年ほど前に自宅を購入し,夫と2人の子どもとともに暮らしていました。Aさんの家では,Aさんが家計の管理をし,夫が組んだ2500万円の住宅ローンを順調に返済していました。
 しかしながら,ある日,Aさんは,夫から内緒にしていた借金があると打ち明けられました。その金額を聞くと複数の金融機関を合わせて300万円ほどにも及んでおり,5年ほど前からパチンコ・スロットなどのギャンブルによって作ってしまった借金だということでした。住宅ローンの返済だけで手一杯だったAさんは,夫が作った借金まで返済しようとすれば,とても住宅ローンを支払っていくのは無理だと思い,自宅を手放さなくてはならないのかと頭が真っ白になってしまいました。
 Aさんは,自宅を手放す他に方法はないのでしょうか。

この事例を聞いた花子さんの見解

 住宅ローンも他の借金も借金に変わりはないと思いますので,住宅ローン以外の借金だけ返さなくていいようにする都合のいい方法もないでしょうし,住宅ローンを支払うことができないのであれば,自宅は手放すしかないんじゃないでしょうか。

この事例を聞いた太郎さんの見解

 たしかに住宅ローンも他の借金も借金に変わりはないと思いますが,住宅に対する思い入れは誰しも強いと思います。住宅ローン以外の借金だけ支払わなくてもいいようにする方法は難しいかもしれませんが,住宅ローンを優先的に支払うという方法くらいはあるのではないでしょうか。

弁護士の見解

 今回のケースでは,Aさんは自宅を手放さなくても良い可能性があります。
 さすがに花子さんのおっしゃるように,住宅ローン以外の借金だけを全く返さなくてもいいようにする方法はありません。しかしながら,住宅ローンだけはそのまま支払いを続けながら,他の借金については,ある程度減額をしてもらって支払っていくという方法はあります。
 住宅資金特別条項を利用した個人再生という手続きをとれば,今回のケースでは,住宅ローンはこれまでどおりの返済を続け,その他の300万円ほどの借金については,100万円まで減額をして,3年から5年までの分割で支払いをしていくことになります。もし5年間で返済をするとすれば,返済の際の振込手数料を考慮しなければ,1月あたり1万6667円ほどを返済していくことになります。そのため,Aさんが,住宅ローンの返済以外に1月あたり1万6667円ほどの返済資金を捻出できれば,自宅を手放さないことも可能となります。

太郎さんの質問

 Aさんの夫はギャンブルによって借金を作ってしまっているようなんですが,そのような浪費ともいえるような理由で作った借金でも減額をしてもらえるんですか。

弁護士の説明

 そうなんです。返済の責任を全て免除してもらうための破産という手続きがあるんですが,破産の場合には借金の理由がギャンブルのような浪費による場合には,返済の責任を免除してもらうことは原則としてできません。
 しかしながら,法律上,個人再生手続では,借金の理由がギャンブルのような浪費によるものだとしても,その人の経済的再生のために一部返済の責任を免除してもらうことができるんです。

※本記載は平成30年3月1日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べください。

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