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離婚

離婚の成立要件

離婚が成立する要件は2つあります。1つ目は「離婚届の提出」です。事前に離婚に合意したり,離婚届に署名押印した時点で離婚が成立する訳ではなく,離婚届を提出して初めて離婚が成立することになります。そして,2つ目の要件は「夫婦双方に離婚する意思があること」です(最判昭和38年11月28日,最判昭和57年3月26日-なお,形式的意思説を採用)。この離婚意思は,離婚届の作成時だけでなく,提出時にも必要であるという判例があります(最判昭和34年8月7日)。

離婚の成立要件

事例

 ある日,Aさん(女性)は,夫のBさんと夫婦喧嘩をしました。Aさんは,以前からBさんと離婚したいと思っており,離婚届の用紙を役所でもらっていたため,喧嘩が終わった後,Bさんに離婚を切り出して離婚届の用紙を渡したところ,Bさんは離婚届に署名押印しました。
 Aさんは,後日,離婚届を役所に提出しようと思って保管していました。しかし,Aさんが離婚届の用紙を役所に提出しないうちに,Bさんから,「やっぱりやり直したいので,離婚はしない。」とメールが来ました。
 Aさんは,手元にある離婚届を役所に提出して,離婚を成立させることはできるのでしょうか。

この事例を聞いた花子さんの見解

 AさんとBさんは,一旦は離婚に合意しているので,その時点で離婚は成立しているはずだと思います。ですので,Aさんは,離婚届を役所に提出して離婚をすることができると思います。

この事例を聞いた太郎さんの見解

 このケースで,もし,離婚届がBさんの手元にあったり,気が変わったBさんが離婚届を破いたりしたら離婚の届出はできないのに,Aさんの手元に離婚届があれば離婚が成立してしまうというのは,不公平な感じがするので,離婚は成立しないのではないかと思います。

弁護士の見解

 今回のケースでは,Aさんが離婚届を役所に届け出しても,離婚は成立しないと考えられます。
 離婚が成立する要件は2つあります。まず,1つ目は「離婚届の提出」です。事前に離婚に合意したり,離婚届に署名押印した時点で離婚が成立する訳ではなく,離婚届を提出して初めて離婚が成立することになります。そして,2つ目の要件は「夫婦双方に離婚する意思があること」です(最判昭和38年11月28日,最判昭和57年3月26日-なお,形式的意思説を採用)。この離婚意思は,離婚届の作成時だけでなく,提出時にも必要であるという判例があります(最判昭和34年8月7日)。
 ですので,今回のケースでは,Aさんが離婚届を役所に提出しても,離婚は成立しないと考えられます。

花子さんからの質問

 Aさんが,Bさんのメールを無視して,離婚届を役所に提出してしまった場合はどうなるんですか。

弁護士の回答

 役所の窓口では,離婚届は形式的な審査しかされませんから,Aさんが離婚届を提出した場合には,現実には,受理されてしまうと思われます。
 そして,その場合,Bさんとしては,離婚は無効だとして,裁判所での法的手続きをとって,戸籍を訂正する必要があり,Bさんには,大きな負担が生じることになります。
 このように,一方の配偶者の意思に反して,離婚の届出がされることを防止するために,「不受理申出制度」というものがあります。一方の配偶者が役所に対して申し出ることで,他方の配偶者が離婚届を提出しようとしても,役所はそれを受理しないという取り扱いをすることになります。Bさんとしては,気が変わった時点で,不受理申出をしておくべきでしょうね。

※本記載は平成30年9月1日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べください。

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