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離婚

離婚後の名字

離婚により母親が親権者となったとしても,結婚中の戸籍の筆頭者が父親の場合,子どもの戸籍は父親の戸籍に残ったままになっていて,子どもの名字は結婚中の名字のままです。そのため,子どもの名字を変えようと思えば,家庭裁判所に子どもの名字を変えるのを許可してもらう必要があります(民法791条1項)。

離婚後の名字

事例

 Aさんは,夫であるBさんとの間に6歳の男の子がいます。しかしながら,Bさんには浪費癖があり,休みの日にはパチンコに行ってしまって,子どもと遊ぶこともあまりありませんでした。そのため,AさんはBさんと離婚したいと考えています。そして,離婚をしたら,浪費癖があり,育児もほとんどしないBさんに子どもを任せるわけにはいかないのでAさんが子どもの親権者となって実家で子どもを育てていきたいと考えています。しかしながら,Aさんは離婚後には結婚前の名字に戻すつもりであり,離婚をしてAさんが子どもを育てるようになれば,子どもの名字が変わってしまうことが心配でなりません。Aさんの実家は現在の家と近所であり,Aさんと子どもがAさんの実家で暮らすようになっても小学校を転校する必要がないので,名字が変われば子どもが学校で嫌な思いをするのではないかと心配をしています。
 そのため,実家に戻るのではなく転校が必要な場所にアパートを借りるか,子どもがもっと大きくなるまで離婚を待つか悩んでいます。
 Aさんが子どもの親権者になりながら,子どもの名字を変えなくて済む方法はないのでしょうか。

この事例を聞いた花子さんの見解

 Aさんは離婚した後にも結婚時の名字を使うことができると聞いたことがあります。そうであれば子どもの名字も変わることなく,小学校に通うことができると思うのですが,Aさんが結婚前の名字に戻すのであれば,子どもの名字も変わってしまうのではないでしょうか。

この事例を聞いた太郎さんの見解

 たしかに親権者と子どもの名字が違うというのは聞いたことがありませんが,それぞれの家庭の事情もあると思うので,子どもの名字だけ変えずに済む方法はあるのではないでしょうか。

弁護士の見解

 今回のケースでは,子どもの名字を変えなくて済む方法はあります。
 たしかに親権者と子どもの名字が違うと不便な場面も出てきてしまうかもしれませんが,親権者が離婚によって結婚前の名字に戻したとしても,子どもの名字が自動的に親権者と同じ名字になるわけではありません。仮に母親が親権者となったとしても,結婚中の戸籍の筆頭者が父親の場合,子どもの戸籍は父親の戸籍に残ったままになっていて,子どもの名字は結婚中の名字のままなんです。そのため,子どもの名字を変えようと思えば,家庭裁判所に子どもの名字を変えるのを許可してもらう必要があります(民法791条1項)。ですので,今回のケースではAさんだけが結婚前の名字に戻して,子どもの名字は変えないということは可能です。

花子さんの質問

 子どもの名字を親権者と同じにするには家庭裁判所の許可が必要ということなんですが,いつまでに家庭裁判所に許可をしてもらわなければいけないという期限はあるんでしょうか。

弁護士の説明

 子どもの名字を変更するのに期限は特にありません。ですので,離婚してすぐに子どもの名字を変えずに,子どもが大きくなってから名字を親権者と同じに変更することも可能です。

※本記載は令和元年7月20日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べください。

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