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相続

寄与分

相続人の中に,被相続人の療養看護などによって被相続人の財産の維持や増加について特別の寄与をした人がいる場合には,その「寄与分」について他の相続人より多く遺産をもらえることになります(民法904条の2)。裁判例では,高齢で入退院を繰り返していた被相続人の日常の世話や入退院の付添をした相続人の寄与分を認めた例,認知症の親の介護について寄与分を認めた例などがあります。

寄与分

事例

 先日,ある女性が亡くなりましたが,遺産は900万円あり,その相続人は長男Aさん,長女Bさん,次男Cさんの3人でした。女性の夫は10年前に他界しており,その後Aさんが母親であるその女性と同居して,母親の面倒を見てきました。母親はAさんが同居したときにはすでに認知症が進行しており,とても1人で生活できるような状態ではありませんでした。Aさん,Bさん,Cさんは遺産分割の協議を行い,BさんとCさんは母親の遺産を3等分して分けてはどうかと提案してきましたが,Aさんは自分が認知症の母親の面倒を長年みてきたので,苦労した分,少しで構わないのでBさん,Cさんより多く遺産をもらえないかと考えています。
 Aさんは,母親の遺産を3等分しなければならないのでしょうか。

この事例を聞いた花子さんの見解

 Aさんは遺産を3等分しなければいけないと思います。Aさんが母親の面倒をみていたかもしれませんが,親族なのですから助け合うのは当然のことだと思いますので,それが相続には影響しないと思います。

この事例を聞いた太郎さんの見解

 Aさんは,Bさん,Cさんより多く遺産をもらえると思います。たしかに親族なので助け合うのは当然だと思いますが,Aさんだけが面倒をみてきたんですから,その貢献に見合うだけ遺産を多くもらえてもいいと思います。

弁護士の見解

 今回のケースでは,Aさんは,Bさん,Cさんに比べて多く遺産をもらえる可能性があります。
 法律用語では,「寄与分」というのですが,相続人の中に,被相続人の療養看護などによって被相続人の財産の維持や増加について特別の寄与をした人がいる場合には,その寄与分について他の相続人より多く遺産をもらえることになります(民法904条の2)。
 寄与分が認められるのは,「特別の寄与」があった場合ですので,母親の面倒をみるにあたって,通常の親族関係で期待される程度を超えて,それ以上の行為があった場合ということになります。民法では,夫婦間には協力扶助義務,親族間には扶養義務が定められており,そのような関係を踏まえて法定相続分も定められています。ですので,例えば,妻が日常の家事労働をしていたという程度では,「特別の寄与」があったとは認められません。
 裁判例では,高齢で入退院を繰り返していた被相続人の日常の世話や入退院の付添をした相続人の寄与分を認めた例(広島高決平成6年3月8日)や認知症の親の介護について寄与分を認めた例(盛岡家一関支審平成4年10月6日)などがあります。

花子さんの質問

 母親の面倒をみていたことが寄与分として認められる場合,その金額はどのように算定することになるんですか。

弁護士の説明

 看護助手やヘルパーの利用料金を基礎にして寄与分を算定する例が多いです。
 裁判例では,看護補助者による看護料金を参考に,親族関係であることを考慮してその7割を寄与分として算定したものもあります(東京家審平成12年3月8日)。
 相続する金額の計算方法としては,例えば寄与分が60万円であると算定された場合には,遺産の900万円から60万円を差し引いた840万円を相続財産とみなして,その840万円を3等分した280万円をBさん,Cさんが相続し,280万円に寄与分の60万円を加えた340万円をAさんが相続することになります。

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