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相続

養子への相続

養子縁組には「特別養子」(民法817条の2第1項)と「普通養子」(民法792条)の2種類の制度があります。特別養子であれば,元の両親や親戚との親族関係が終了するのに対して(民法817条の9),普通養子では,元の両親や親戚との親族関係を終了させずに,縁組の相手方と法律上の親子になることができ,普通養子は,元の両親からの相続と縁組の相手方からの相続の両方ができます。

養子への相続

事例

 BさんとCさんは大学以来,親しくしている友人であり,卒業後も付き合いを続けていました。Cさんには子供がいなかったため,自分の跡継ぎとしてBさんの2人の息子のうち,次男である当時20歳であったAさんを養子にもらうことになり,その手続がなされました。
 その後,Bさんが亡くなったため,AさんはBさんの息子としてBさんを相続したいと考えました。AさんはBさんを相続することが出来るでしょうか。

この事例を聞いた花子さんの見解

 Aさんは,Cさんの養子になっているので,Bさんの相続はできなくなると思います。

この事例を聞いた太郎さんの見解

 Cさんの養子になっていたとしても,Aさんの実の親がBさんであることに変わりはないので,AさんはBさんを相続することが出来ると思います。

弁護士の見解

 今回のケースでは,Aさんはお父さんのBさんが亡くなった際,Bさんの遺産を相続することが出来ると考えられます。
 養子縁組には「特別養子」(民法817条の2第1項)と「普通養子」(民法792条)の二種類の制度があります。特別養子であれば,元の両親や親戚との親族関係が終了するのに対して(民法817条の9),普通養子では,元の両親や親戚との親族関係を終了させずに,縁組の相手方と法律上の親子になることが出来ます。これにより,普通養子縁組により養子になった人は,元の両親からの相続と縁組の相手方からの相続の両方が出来るようになります。
 また,8歳以上になった人は特別養子縁組による養子になることはできませんので(民法817条の5),今回のAさんはCさんの普通養子であると考えられます。したがって,Bさんが亡くなった際,AさんはBさんの子としてBさんを相続することが出来ます。

※本記載は平成30年10月27日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べください。

太郎さんの質問

 今回のケースで,Aさんにお子さんのDさんがいた場合で,Bさんが亡くなられた時に既にAさんも亡くなられていた場合には,DさんはAさんの代わりにBさんを相続することが出来るのでしょうか。

弁護士の説明

 はい,DさんはBさんを相続することが出来ます。
 法律では,相続の際に相続人である子が亡くなっていたような場合には,本来は相続人にならない孫が相続できることになっています。このような相続は代襲相続(だいしゅうそうぞく)と呼ばれています(民法887条2項)。DさんはBさんのお孫さんですので,Aさんが亡くなっていた場合には,Aさんの代わりにBさんを相続することが出来ます。

太郎さんの質問

 Dさんは,Aさんがすでに亡くなっていた場合に,Aさんが養子に入った先のCさんも相続できることになるのでしょうか。

弁護士の説明

 この場合は,Dさんが生まれたのが,Aさんが養子縁組をする前であったのか,それとも後であったのかによって結論が変わってきます。
 まず,養子縁組によりAさんがCさんの親族となった後にDさんが生まれた場合には,Dさんは,Aさんと同様に,Cさんと親族関係にあることになります。この場合だと,Dさんは法律上Cさんのお孫さんであるということになり,DさんはCさんを代襲相続することが出来ます。
 他方で,AさんとCさんが養子縁組をする前にDさんが生まれていた場合には,判例上,DさんとCさんの間に養子縁組による親族関係が生じることはないと考えられています(大判昭和19年6月22日民集23巻371頁,昭和27年2月2日民[甲]第89号法務省民事局長回答)。これは,養子縁組による親族関係は,養子縁組の日に養子となる人のみを対象として生じることが理由とされています。したがって,この場合だと,DさんはCさんの法律上の孫ではなく,Cさんを代襲相続することはできません。

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